ご挨拶
第13回日本脆弱性骨折ネットワーク(FFN-J)学術集会
会長 佐藤公治(日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 院長)
このたび、第13回日本脆弱性骨折ネットワーク(FFN-J)学術集会を2026年2月27日・28日に名古屋にて開催させていただきます。FFN-Jは2012年より国際ネットワークの日本支部として活動を続け、脆弱性骨折の予防と治療に関する多職種・多施設の協力を促進してまいりました。
本学術集会のテーマは、「健康寿命の延伸でSDGs -FLSの真のチームビルディング-」と掲げました。
人生100年、さらには130年時代を迎え、高齢者が健康に暮らし続けるためには、二次骨折予防の充実と、医療・介護・地域が一体となったチーム医療の確立が不可欠です。2022年の診療報酬改定では、二次骨折予防が評価されるという画期的な進展がありましたが、真に効果的な予防には、薬剤だけでなく、運動・栄養・口腔ケア・転倒予防・ICTの活用など、多角的なアプローチが求められます。
私が主宰する「八事整形医療連携会」では、2003年から大腿骨頚部骨折の地域連携パスを運用し、2006年には治療と予防を統合したパスへと進化させてきました。現在はロコモ予防を主眼に置き、地域での多職種連携を推進しています。また、FLS(骨折連鎖予防プログラム)の発展に向けて、入院時のアセスメントを起点とする二次骨折予防や、病院・介護施設間の情報共有の工夫など、さまざまなイノベーションに取り組んでいます。
本学術集会では、以下のような重要テーマについて議論を深めます。
- FFN-Jスマートホスピタルアワード:データベース登録・追跡に尽力した病院を表彰
- FLSのチームビルディングと運用のコツ:多職種・多施設での成功例と課題
- 転倒予防チームの役割:施設内で骨折を防ぐための工夫
- 医療と介護の情報共有の工夫:ICT・アプリ・マイナ保険証の活用
- FLSにおける運動・栄養・口腔ケアの連携
- 薬剤以外の二次骨折予防の取り組みと効果判定
- FLSコーディネーターの活躍と役割の拡大
- 高齢者の脆弱性骨盤骨折・椎体骨折の治療戦略(MIST治療、愛知医大・聖霊病院との連携)
- アンチエイジングとサルコペニアの最新知見(百寿会の紹介、サルコペニアとSDGs)
- 世界各国の脊椎疾患・骨粗鬆症治療の現状(中国、エジプトの専門家を招聘)
さらに、「FLS合戦」と称した参加型のシンポジウムを企画し、会場投票やリアルタイムアンケートを通じて、より実践的な知見を共有する場を設けます。またアプリを活用した骨粗鬆症の地域情報共有の取り組みについても紹介します。
本学術集会が、世界に誇れる二次骨折予防の地域連携モデルを確立し、健康寿命の延伸とSDGs達成への貢献につながることを願っております。多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。