日本質的心理学会 第22回大会

ご挨拶

ぜひきてみんさい!日本質的心理学会第22回大会(広島大会)

日本質的心理学会第22回大会は、2025年10月18〜19日の両日、広島大学教育学部(東広島キャンパス)で開催します。広島大会は、2011年11月、安田女子大学で開催された第8回大会以来、14年ぶりとなります。特に、昭和100年、戦後80年という節目の年に広島の地で再び大会を開催できますこと、感慨深く思います。

ご承知の通り、日本質的心理学会は、心理学分野に限らず、教育学、保育学、看護学、社会学など、多様な領域の研究者が集うのが特長です。この点を踏まえて、第22回大会のテーマを「架橋する」としました。字義的に言えば「橋をかけること」。私たちはこの言葉に、質的研究を介して、理論と実践、研究と実践、研究者と実践者、調査者と研究協力者、異分野の研究者の間に「橋をかけたい」・・・そんな願いを込めています。

これまで、理論と実践、研究と実践、研究者と実践者は、ともすると相容れないものとして捉えられることがありました。例えば、「確実性や法則性を求める理論vs. 不確実性や文脈依存性を伴う実践」「データと向き合う研究vs. 現実の課題と向き合う実践」「疑うことを常とする研究者vs. 自らを信じて実践を営む実践者」などです。質的研究は、こうした両者の間を「架橋する」ことで、対話や協働を促す可能性を有しているのではないでしょうか。質的研究を通して、これら二つの世界を往還することの意味を今一度考えたい・・・そんな思いで私たちは、広島大会を開催します。

学会の発展において年次大会の充実は、不可欠な要素です。言うまでもなく年次大会は、様々な専門性を有する研究者、実践者が同じ場所に集い、自身の研究を発信し、相互に対話する貴重な機会に他なりません。それぞれの専門は違っていても、質的研究方法論を基軸にして参加者同士が議論するような年次大会は、数ある学会の中でも特徴的なのではないでしょうか。みなさんにとっても、この大会でしか顔を合わせることのない研究者、実践者との対話は、他学会の大会とは異なる有意義な時間となるはずです。

第22回大会は、主に5つの魅力的な要素で構成されます。(1)質的データ分析法SCAT(Steps for Cording and Theorization)の開発者として名高い大谷尚先生(名古屋経済大学)をお迎えして招待講演を開催します。(2)複数の大会準備・実行委員会企画シンポジウムを開催します。開催地の広島や大会テーマの「架橋する」を意識した内容で構成します。(3)学会委員会企画シンポジウムや常任理事会主催シンポジウムを開催します。(4)一般セッションと優秀賞選考セッションによるポスター発表を開催します。現在、会員のみなさんが取り組んでいる質的研究の成果をどうぞご発表ください。(5)会員企画シンポジウムを開催します。会員のみなさまに自主的にテーマを設定して頂き、シンポジウムを運営して頂きます。特色ある企画をお待ちしています。なお、プログラムの詳細は、この大会Webサイトで随時更新し、ご案内します。

広島大学教育学部(東広島キャンパス)がある東広島市は、広島県中央部に位置する学園都市です。中心市街地の西条は、銘醸地として知られる日本有数の日本酒の産地です。JR西条駅周辺に酒蔵が連なる「西条酒蔵通り」は、明治・大正から昭和初期の建物など独特の景観を楽しむことができます。微力ではありますが、実り多き大会となるよう、大会実行委員一同、協力して準備を進めてまいります。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。

日本質的心理学会 第22回大会準備・実行委員会委員長
中坪 史典(広島大学)

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